先輩たちに支えられつつ
地道に自分の技能を磨く
真空ポンプの
重要な部分を担う
製造部製造課は、真空ポンプやブロワの部品を製造・加工する部署だ。その一員である伊藤友乙は真空ポンプのケーシングを製造する班に所属している。ケーシングとはポンプ内の圧力を高める働きをするローターという部品を覆うように取り付けられるもので、あらゆるポンプに必要なものである。
ケーシングの製造工程は自動化されているので、専用の機械に材料を取り付けて必要事項を入力すれば、あとは自動的に加工が進められる。とはいえその間も油を補充したり、他の業務を進めたりと、仕事は尽きない。
逆に、時間に追われることも少なくない。スケジュールを考えて取り組んでいても、なかなか思うようにはいかないもので、定時を過ぎてもその日の作業が終わらないこともある。作業が遅れた時には先輩たちのフォローが入る。先輩に感謝するとともに、自分も成長しなければと感じる毎日だ。
幼少時から
変わらぬ機械への思い
そんな伊藤の原点は幼少期にある。父がガスの小売店を営んでいて、余ったガス管を組み立てたり水を通したりして遊んでいたのだ。それで自然に機械いじりが好きになったと伊藤は振り返る。
大学は工学部に進学し、主に材料工学を学んだ。また、射撃部にも所属していて、大会などにも積極的に参加した。銃の仕組みを知りたいというのがきっかけだったが、競技に取り組むうちに集中力や正確性が養われたという。こうした経験は、製造の業務においても存分に生かされている。
宇野澤組鐵工所を志望したのも、機械を使って何かやってみたいという思いからだった。会社説明会で製造の現場を見学し、自分の学識や志向にぴったりだと感じた。年齢が近い若手が多いのも魅力的だった。
入社後のギャップもほぼ皆無だった。千葉から通っているので通勤に時間がかかり、朝はかなり早く起きる必要があるが、それも苦にならなかった。理想の職場だと伊藤は思っている。
失敗を糧にして
成長を目指す
現場で働き始めてから、およそ2年が経った。先輩の指導が丁寧でわからないことは気軽に聞けるし、時には実際に機械を操作してノウハウを教えてくれるので、苦労なく仕事を覚えられた。
とはいえ、もちろん失敗はある。あるときは焦りから製品の固定が不十分なまま機械を動かしてしまい、製品が横にスライドしてしまった。幸い被害はなかったが、少し間違えば事故になっていてもおかしくなかった。先輩から厳しく注意されたのは言うまでもない。作業を始める前に機械をしっかりチェックすることの大切さを伊藤は痛感した。
先輩たちに比べると伊藤のスキルはまだまだ低いが、彼に焦りはない。オンとオフの区切りをしっかりつけて、気負わず仕事に取り組んでいる。
「まずはここで、自分ができる範囲を広げていくことです」
地に足をつけて、伊藤は未来へと歩を進めていく。